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蘇州古典園林/中国庭園美に託した趣味人たちの思い

蘇州古典園林

Story

長江下流に広がる「水の都」蘇州。縦横に張り巡らされた運河に、白壁と黒瓦の古民家が影を落とす風景は、13世紀にマルコ・ポーロが「東洋のベニス」と称賛したほど。その蘇州には170の庭園が現存し、9つの庭園が世界遺産に登録されています。蘇州の歴史は古く、春秋時代の紀元前514年、呉王が城を築いたことに始まり、隋代に大運河が開かれると、物資輸送の拠点として繁栄。最盛期の明代には富を得た商人や役人、文人たちが競って趣味の庭園造りに励みました。とりわけ役人たちは、引退後に楽園と称された蘇州に閑居し、ゆっくりと庭園美を愛でるのが楽しみだったようです。

1997年に世界遺産となった拙政園、網師園、留園、環秀山荘のなかで、「拙政園」と「留園」は中国四大名園にも数えられる名園。5ヘクタールの広大な拙政園は池がその約6割を占め、典雅な楼閣が彩りを添える蘇州最大の庭園です。一方、留園は近くの太湖で採れ珍重される太湖石を使った築山で有名。高さ約6.5mの「冠雲峰」は江南一の奇岩と称えられます。さらに2000年には、最も古い宋代の滄浪亭をはじめ、獅子林、藕園、芸圃、退思園が追加登録されています。

蘇州の庭園は自然を巧みに利用し、細部にまでこだわり、趣味の世界を表現したもの。造園主は四季の移ろいを楽しんだり、円窓からの風景を一幅の名画として鑑賞したりと、激変する時代のなかで変わらぬやすらぎをこの空間に求めていたのではないでしょうか。

Photos

留園

太湖石の築山と豊かな緑が趣のある庭園美を表現/留園

拙政

額縁のような円窓から覗くとそこには別世界が広がる/拙政

Data

登録名
蘇州古典園林
登録年
1997年、2000年
分類
文化遺産
国名
中国
アクセス
拙政園:蘇州駅から車で約5〜10分、留園:蘇州駅から車で約10〜15分
ベストシーズン
通年