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ベネチアとその潟/イタリア人工の浮島に築かれた華麗なる水上都市

ベネチアとその潟

Story

ラグーナ(潟)に点在する118もの島々を400の橋で結んだベネチアは、まさに水上の迷宮。5〜6世紀頃、異民族の侵略から逃れるために、湿地に無数の杭を打ち込み浮島を造成し、その上に街を造ったのが始まりでした。やがて東西貿易の中継地として栄え、14世紀には「アドリア海の女王」と謳われるほど強大な海運共和国に。映画『ベニスに死す』の舞台であるリド島、レース編みで名高いブラーノ島など、周辺の島々も合わせ、街全体が世界遺産に登録されています。

この街の交通手段は徒歩と船のみ。ベネチア発祥の地リアルト橋からゴンドラで大運河を巡れば、5つのドームをのせたベネチアのシンボルにしてビザンチン建築の傑作サン・マルコ大聖堂、ナポレオンが「世界一美しい広場」と称えたサン・マルコ広場や、行政庁の要として建てられ共和国時代の栄光を今に伝えるゴシック建築の至宝ドゥカーレ宮殿など、貿易による巨万の富が成した壮麗な建築が美を競います。そして、ドゥカーレ宮殿の裁判所と牢獄をつなぐ“ため息橋”。かつて囚人がため息をつきながら渡ったいわくつきの橋も、今ではこの橋の下でキスをすると永遠の愛が叶うといわれ、縁結びスポットとして恋人たちに人気のようです。

運河の水はベネチアを守り続け、人々の生活を支え、文化を開花させてきました。しかし、街が華やかさを見せる一方で近年は高潮現象や地盤沈下、地球環境の変化による海面上昇に悩まされ「沈みゆく都市」とも呼ばれています。世界でもまれな「水の都」を築いたのも、水没の危機にさらしているのも、私たち人類の営みにほかならないのです。

Photos

サン・マルコ大聖堂

東西文化が融合し、絢爛豪華な大聖堂となったサン・マルコ大聖堂

ベネチアのゴンドラ

ゴンドラで細い水路を渡れば、活気あるベネチアの日常生活が伺える

Data

登録名
ベネチアとその潟
登録年
1987年
分類
文化遺産
国名
イタリア
アクセス
ローマから特急列車で約5時間30分。フィレンツェ、ミラノからは約3時間