Story
「田子の浦ゆうち出でてみれば真白にそ富士の高嶺に雪は降りける」と、古くは万葉集に詠まれ、浮世絵など多くの絵画に描かれてきた「日本の象徴」富士山。静岡県と山梨県に跨がる標高3,776mの日本最高峰にして活火山であり、幾度も噴火を繰り返す富士山を古の人々は神山と崇め、信仰の対象としてきました。環境問題などから自然遺産への登録はかないませんでしたが、現在に受け継がれる信仰や芸術を生み出した文化的価値が評価され、富士山域(標高約1,500m以上)をはじめ、25の構成資産が2013年、世界文化遺産に登録されました。
構成資産の中でも特に重要なのは富士山域です。ここに含まれる八合目から山頂には、富士山の神「浅間大神」が鎮座するとされ、噴火が鎮まることを願い806年に建立された富士山本宮浅間大社の境内になっています。やがて噴火が沈静化した12世紀頃から、富士山は古来の山岳信仰と仏教などが習合した修験道の修行の場となり、時代が下ると庶民の間でも信仰登山が盛んになっていきました。逆さ富士で知られ、千円札などの図柄にも使われた富士五湖の1つ本栖湖、和歌や絵画の題材となり、謡曲『羽衣』の舞台にもなった三保の松原など、芸術と関わりが深い絵画的な景観も構成資産となっています。
あまりにも身近すぎる存在の富士山ですが、文化遺産への登録は日本人の信仰や美意識を改めて見直す良い機会になるのではないでしょうか。富士山を訪ね、先人たちがつくり上げてきた日本文化の源泉にふれてみましょう。
構成資産の中でも特に重要なのは富士山域です。ここに含まれる八合目から山頂には、富士山の神「浅間大神」が鎮座するとされ、噴火が鎮まることを願い806年に建立された富士山本宮浅間大社の境内になっています。やがて噴火が沈静化した12世紀頃から、富士山は古来の山岳信仰と仏教などが習合した修験道の修行の場となり、時代が下ると庶民の間でも信仰登山が盛んになっていきました。逆さ富士で知られ、千円札などの図柄にも使われた富士五湖の1つ本栖湖、和歌や絵画の題材となり、謡曲『羽衣』の舞台にもなった三保の松原など、芸術と関わりが深い絵画的な景観も構成資産となっています。
あまりにも身近すぎる存在の富士山ですが、文化遺産への登録は日本人の信仰や美意識を改めて見直す良い機会になるのではないでしょうか。富士山を訪ね、先人たちがつくり上げてきた日本文化の源泉にふれてみましょう。