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ヴァッハウ渓谷/オーストリア中世の町や古城が彩るドナウ川随一の景勝地

ヴァッハウ渓谷

Story

ドイツに源を発し約2,860kmを流れ黒海へと注ぐドナウ川。その一部であるオーストリアのヴァッハウ渓谷はドナウ川の要衝であり、キリスト教布教や十字軍遠征の道として発展しました。メルク〜クレムス間約35kmの両岸にはぶどう畑が広がり、河岸に建つ修道院や古城、そして中世からの町々が織り成す景観が世界文化遺産に登録されています。

その類まれな景観を楽しむには、クルーズ船でゆっくりと船上から眺めるのが一番。断崖にそびえ船着場からも見えるメルク修道院は、高さ約65mの尖塔を持つ東西320mのバロック建築で、「横にのびた摩天楼」の別称も。図書室は約10万冊の蔵書を誇り、大広間の「大理石の間」はまるで宮殿のようです。フランスへ輿入れするマリー・アントワネットが一夜を過ごした逸話に思いを巡らせているうち、やがて右岸に堅固な姿を現わすのはアックシュタイン城。おどろおどろしい伝説に彩られた盗賊騎士の城といわれます。そして左岸には、ぶどう畑に囲まれた中世の町デュルンシュタインが見えてきます。英国のリチャード王が幽閉されていた丘の上のクリエンガー城を眺めつつクレムスへ。市庁舎を中心に中世の面影が残るこの町はワインの産地。ぶどう栽培に適した気候や地形などに加え、修道士たちが来客をもてなすために作ったワインが名を馳せていきました。

ヴァッハウ渓谷の景観は自然の美しさだけではありません。そこにまつわる人々の営みや歴史を知れば、船の旅がさらに印象的になることでしょう。

Photos

メルク修道院

オーストリア有数のバロック建築が美しいメルク修道院

ヴァッハウ 街並み

川岸には中世の街並みと静かな暮らしが今も息づいている

Data

登録名
ヴァッハウ渓谷の文化的景観
登録年
2000年
分類
文化遺産
国名
オーストリア
住所
3602 オーストリア
アクセス
ウィーンからメルク駅まで列車で約1時間10分。メルク駅から徒歩約10分で船着き場。メルクからクレムスまでは観光船で約1時間35分
ベストシーズン
通年