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ヴァレッタ市街/マルタ海に浮かぶ要塞都市は騎士団の夢の跡

ヴァレッタ市街

Story

地中海の中央部、シチリア島とアフリカ大陸の間に浮かぶ5つの島々からなるマルタ共和国。その首都ヴァレッタは、「マルタストーン」とも呼ばれる蜂蜜色の石灰岩で造られた建築物が建ち並び、「ガラリア」という突き出たバルコニーが特徴の家々が建ち並びます。このヴァレッタは、「ルネサンスの理想都市」といわれ、街全体が世界遺産に登録されている美しくも堅固な要塞都市です。

遡ること16世紀、マルタ島はイスラムからヨーロッパを守る砦でした。そのマルタ島に1565年、イスラムの大国・オスマン帝国が5万の大軍を率いて押し寄せました。後に「グレートシージ(大包囲)」と呼ばれる戦いです。守るは9千の聖ヨハネ騎士団。激戦の末に島を守り抜いた騎士団には、ヨーロッパ中から莫大な寄付が集まり、騎士団長はより堅固な要塞都市の建設に着手しました。街の周囲には深い堀が掘られ、大砲の砲弾に耐える分厚い土塁が築かれ、道路は騎士たちが直ちに沿岸に駆けつけられるよう碁盤の目状に整備されたのです。そして、騎士団長ジャン・パリゾ・ド・ラ・ヴァレットの名にちなみ、街はヴァレッタと命名されました。この街の中心に建つ聖ヨハネ大聖堂に入ると、色とりどりの大理石が床一面に敷き詰められています。それは400にも及ぶ騎士たちの墓碑であり、ヨーロッパを守るために奮闘した、騎士団の栄光のモニュメントなのです。

16世紀の建設当時の姿を今にとどめる世界遺産都市ヴァレッタを訪れてみれば、日々戦いに明け暮れた聖ヨハネ騎士団の勇姿、そして彼らを支えた島民たちの暮らしがありありと甦ることでしょう。

Photos

聖ヨハネ大聖堂

質素な外観からは想像もつかないような、豪華な造りの聖ヨハネ大聖堂

ガラリア

「ガラリア」からは、まっすぐに続く通りをよく眺めることができる

Data

登録名
ヴァレッタ市街
登録年
1980年
分類
文化遺産
国名
マルタ
アクセス
ローマから航空機で約1時間半
ベストシーズン
4~9月