Story
北イタリアの都市パドヴァにある小さな礼拝堂。外観はシンプルなロマネスク・ゴシック様式の建物ですが、この内部に唯一無二の空間が広がっています。堂内を埋め尽くすのは、「西洋絵画の父」ジョットが手掛けたフレスコ画です。見上げると、鮮やかなブルーの天井と金色の星々が息をのむほど美しく、その荘厳さに誰もが言葉を失います。同時に注目すべきは、壁面に描かれた、怒りや悲しみをあらわにした人々の物語です。当代一の画家であったジョットは、それまでの様式的で平面的にしか描かれなかった絵画に感情表現を盛り込み、イタリア・ルネサンスの扉を開きました。
スクロヴェーニ礼拝堂は、2021年登録の世界遺産「パドヴァの14世紀フレスコ作品群」を構成する8つの建築物の中でも特に有名です。14世紀初頭、父の代に高利貸し業で財産を築いたエンリコ・スクロヴェーニが、贖罪のため一族の礼拝堂として建てました。当時キリスト教において高利貸しは死後地獄に堕ちると考えられるほど重大な罪だったのです。礼拝堂のテーマは「救済」で、聖母マリアの慈愛に捧げられました。
見学者に許される時間はわずか15分。フレスコ画は、聖母マリアとイエス・キリストの生涯を中心に螺旋を描くように展開されています。上段から下段へ、左から右へと時計回りに視線を進めていきましょう。そして正面の「最後の晩餐」には、マリアに礼拝堂を寄進するエンリコが描かれています。スクロヴェーニ一族が天国にいって救済されたことを祈るばかりです。
スクロヴェーニ礼拝堂は、2021年登録の世界遺産「パドヴァの14世紀フレスコ作品群」を構成する8つの建築物の中でも特に有名です。14世紀初頭、父の代に高利貸し業で財産を築いたエンリコ・スクロヴェーニが、贖罪のため一族の礼拝堂として建てました。当時キリスト教において高利貸しは死後地獄に堕ちると考えられるほど重大な罪だったのです。礼拝堂のテーマは「救済」で、聖母マリアの慈愛に捧げられました。
見学者に許される時間はわずか15分。フレスコ画は、聖母マリアとイエス・キリストの生涯を中心に螺旋を描くように展開されています。上段から下段へ、左から右へと時計回りに視線を進めていきましょう。そして正面の「最後の晩餐」には、マリアに礼拝堂を寄進するエンリコが描かれています。スクロヴェーニ一族が天国にいって救済されたことを祈るばかりです。