Story
イタリア中部トスカーナの丘に中世の姿を留め息づくシエナは、13世紀にはトスカーナの覇権を手中に収め、隣国フィレンツェを凌ぐほど繁栄を極めた都市国家でした。世界一美しいといわれるカンポ広場を中心に広がるイタリア・ゴシックの町並みが、なだらかな緑の丘に調和し、時間が静止したかのような趣をたたえています。
フィレンツェとの激しい覇権抗争を繰り広げていた13~14世紀、交易で繁栄していたジェノヴァ、ピサ、ヴェネツィアなどとの金融取引で得た莫大な富を資金に、シエナはドゥオモ(大聖堂)の建設に着手しました。およそ200年を費やした、白と暗緑色の大理石で装飾された壮麗なゴシック建築は、シエナ最盛期のシンボルといえるでしょう。時を同じくしてシエナでは、フィレンツェのルネサンスに先駆け芸術・文化が花開き、シエナ派と呼ばれる画家たちが活躍しました。カンポ広場に建つプッブリコ宮殿の内部は、シエナ派のフレスコ画で彩られ、名画を展示する美術館にもなっています。
シエナの栄光はしかし、長くは続きませんでした。次第にフィレンツェの後塵を拝するようになり、14世紀中頃から始まったペストの流行がシエナを危機的状況に追い込み、最盛期の町並みがそのまま化石のように残されました。カンポ広場からゴシック建築が連なる迷路のような石畳の道を歩き、この地方で醸されるキャンティ・ワインを傾ければ、シエナの黄金の日々が偲ばれることでしょう。
フィレンツェとの激しい覇権抗争を繰り広げていた13~14世紀、交易で繁栄していたジェノヴァ、ピサ、ヴェネツィアなどとの金融取引で得た莫大な富を資金に、シエナはドゥオモ(大聖堂)の建設に着手しました。およそ200年を費やした、白と暗緑色の大理石で装飾された壮麗なゴシック建築は、シエナ最盛期のシンボルといえるでしょう。時を同じくしてシエナでは、フィレンツェのルネサンスに先駆け芸術・文化が花開き、シエナ派と呼ばれる画家たちが活躍しました。カンポ広場に建つプッブリコ宮殿の内部は、シエナ派のフレスコ画で彩られ、名画を展示する美術館にもなっています。
シエナの栄光はしかし、長くは続きませんでした。次第にフィレンツェの後塵を拝するようになり、14世紀中頃から始まったペストの流行がシエナを危機的状況に追い込み、最盛期の町並みがそのまま化石のように残されました。カンポ広場からゴシック建築が連なる迷路のような石畳の道を歩き、この地方で醸されるキャンティ・ワインを傾ければ、シエナの黄金の日々が偲ばれることでしょう。