世界遺産 〜The World Heritage〜
第200回記念
存続が危ぶまれる世界遺産を危機遺産に登録し、守る
世界遺産に登録されると「顕著な普遍的価値」の保護が義務づけられるため、都市開発や武力紛争、商業的密猟などにより、その価値が危機的状況に陥り、緊急に保護が必要と判断された場合は、「危機にさらされている世界遺産リスト(危機遺産リスト)」に登録されます。そして、国際協力や緊急援助を仰ぎ、世界遺産基金を活用し、修復や保存活動が行われます。ここでは危機遺産の現状と危機遺産リストに登録された世界遺産、改善され危機遺産から脱却した世界遺産、残念ながら世界遺産から抹消された元世界遺産を紹介します。
危機遺産リストに登録されている世界遺産は44件(2014年5月現在)あります。例えば1981年に世界遺産に登録された「エルサレム旧市街とその城壁」は、複雑な政治的状況や主体的な保護機関がないなどから、世界遺産登録された翌年から現在まで危機遺産に登録されています。ゲラダヒヒなど希少な生物の生息地である「シミエン国立公園」(エチオピア)は、人口増加に伴う農地拡大や道路建設により環境が悪化し、1996年に危機遺産となりました。また、「パルミラの遺跡」をはじめ、シリアには6つの世界遺産がありますが、内戦による影響により、2013年にすべての物件が危機遺産に登録されました。
その一方で、政府などの働きにより危機的状況を脱した世界遺産もあります。自然遺産第一号の「ガラパゴス諸島」は、観光地化や外来種の侵入などにより環境が悪化。2007年、危機遺産に登録されますが、エクアドル政府の取り組みにより改善され、2010年にリストから除外されました。インドの「マナス野生生物保護区」は、野生動物の環境保護を目的に世界遺産に登録。しかし、民族紛争や密猟などにより1992年、危機遺産リストに。政府による保護区の管理体制の立て直し、生態系の再生が図られ、2011年、危機遺産から除外されました。
世界遺産は「顕著な普遍的価値」が失われたと判断されると、抹消されることも。2007年に抹消された「アラビアオリックス保護区」(オマーン)は、密猟対策の不徹底と保護区の大幅な縮小が要因でした。ドイツの「ドレスデン・エルベ渓谷」は、渓谷と都市が一体となった景観が評価され世界遺産に登録されましたが、橋の建設を進めたため、景観が損なわれると判断され、2009年に抹消されました。
地球の営みが創り上げた景観や生態系、人類が長きにわたって築いてきた建造物、遺跡など、人類共通の宝である世界遺産が自然災害によって破壊されることもありますが、人間の営みによって損なわれているケースも少なくありません。人々が今一度、世界遺産の存在価値を改め、自らの手で危機にさらすことなく、将来にわたって守り、継承され続けることを願いたいものです。
危機遺産リストに登録されている世界遺産は44件(2014年5月現在)あります。例えば1981年に世界遺産に登録された「エルサレム旧市街とその城壁」は、複雑な政治的状況や主体的な保護機関がないなどから、翌年から現在まで危機遺産に登録されています。ゲラダヒヒなど希少な生物の生息地である「シミエン国立公園」(エチオピア)は、人口増加に伴う農地拡大や道路建設により環境が悪化し1996年、危機遺産となりました。また、「パルミラの遺跡」をはじめ、シリアには6つの世界遺産がありますが、内戦による影響により、2013年にすべての物件が危機遺産に登録されました。
その一方で、政府などの働きにより危機的状況を脱した世界遺産もあります。自然遺産第一号の「ガラパゴス諸島」は、観光地化や外来種の侵入などにより環境が悪化。2007年危機遺産に登録されますが、エクアドル政府の取り組みにより改善され2010年リストから除外されました。インドの「マナス野生生物保護区」は野生動物の環境保護を目的に世界遺産に登録。しかし、民族紛争や密猟などにより1992年危機遺産リストに。政府による保護区の管理体制の立て直し、生態系の再生が図られ、2011年危機遺産から除外されました。
世界遺産は「顕著な普遍的価値」が失われたと判断されると抹消されることも。2007年に抹消された「アラビアオリックス保護区」(オマーン)は、密猟対策の不徹底と保護区の大幅な縮小が要因でした。ドイツの「ドレスデン・エルベ渓谷」は、渓谷と都市が一体となった景観が評価され世界遺産に登録されましたが、橋の建設を進めたため景観が損なわれると判断され、2009年に抹消されました。
地球の営みが創り上げた景観や生態系、人類が長きにわたって築いてきた建造物、遺跡など、人類共通の宝である世界遺産が自然災害によって破壊されることもありますが、人間の営みによって損なわれているケースも少なくありません。人々が今一度、世界遺産の存在価値を改め、自らの手で危機にさらすことなく、将来にわたって守り、継承され続けることを願いたいものです。