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ゲハルト修道院とアザート川上流域/アルメニアキリスト教を国教とした世界初の国の洞窟修道院

ゲハルト修道院とアザート川上流域

Story

黒海とカスピ海の間に位置し、トルコとアゼルバイジャンに挟まれたアルメニアの歴史は古く、紀元前にはアルメニア王国として繁栄、301年には世界の歴史上初めてキリスト教を国教と定めたことで知られます。2000年に世界遺産に登録されたゲハルト修道院は、初期キリスト教時代に開設されたアルメニアでも由緒ある修道院です。

アルメニア中西部を流れるアザート川を標高1,700mまで遡ると、渓谷の険しい岩壁に張り付くように聳えるゲハルト修道院の威容が迫ります。ゲハルトとはアルメニア語で槍の意味。キリストが磔刑にあった際、その脇腹を突いた槍がここで見つかったとの伝承から名付けられました。渓谷の雄大な自然にとけ込む現在の建造物は、13世紀に岩を切り取るアルメニア伝統の建築方法で築かれたもの。幾つもの洞窟聖堂と、歴代の王の洞窟霊廟があり、中央聖堂は、僧院、礼拝堂、食堂などが岩盤をくり抜き、壁の装飾や十字架も石を彫って造られています。また、天井は当時のイスラム建築のムカルナスの影響を受けたと思われ、精緻な鍾乳石飾りが目を惹きます。

トルコやイランなど周辺のイスラム諸国の中にあって、独自の言語(アルメニア語)と宗教(キリスト教アルメニア教会)を持ち続けるアルメニア。ゲハルト修道院からは、かつてはカスピ海と黒海にまたがる大国を形成して東西交易で栄え、世界で初めて公式にキリスト教を受け入れた、アルメニアの人々の誇りが感じられます。

Photos

ゲハルト修道院

院内の雰囲気は荘厳な雰囲気が漂います。

ゲハルト修道院

岩壁をくり抜いて作られてた姿は要塞のよう。

Data

登録名
ゲハルト修道院とアザート川上流域
登録年
2000年
分類
文化遺産
国名
アルメニア
アクセス
首都エレバンからバスで約1時間