Story
モロッコ中北部のなだらかな起伏の丘に、9世紀初頭に開かれたイスラム王朝の古い都フェズ。フェズ・エル・バリと呼ばれる旧市街(メディナ)には建物がひしめき、人がすれ違うのがやっとの狭い路地が無秩序に延びています。常に外敵の侵略にさらされてきた地中海沿岸地域では、周囲に堅固な城壁を巡らせ、内部を複雑な構造にした都市が発達しました。中でもフェズ旧市街は巨大迷路のような複雑さで、「世界一の迷宮都市」と形容されるほどです。
その迷宮都市に、タイル装飾が施されたメインゲートのブー・ジュルード門から足を踏み入れると、そこは混沌と喧噪の世界。車両が入れない路地を歩く人々で溢れかえり、荷物の運搬にも手押し車やロバが活躍しています。香料、織物、真鍮細工など同業の商店が集まるスーク(市場)が点在し、さらに奥へと歩を進めると伝統工芸の職人街があります。なめした革を手作業で鮮やかに染色したり、紡いだ糸を染め上げたり、何百年にもわたって培われてきた技術を継承しながら、職人たちが日々の暮らしを営んでいます。異教徒が立ち入れないモスクやマドラサ(大学)などもあるメディナは、敬虔なムスリムの生活の場であり、生きている世界遺産なのです。
メディナの複雑に入り組んだ路地を行きつ戻りつさまよえば、モロッコ最古の王都の1000年にわたる歴史や、今を生きる人々の息遣いがひしひしと伝わり、迷宮に迷い込んだ異邦人の心地がします。
その迷宮都市に、タイル装飾が施されたメインゲートのブー・ジュルード門から足を踏み入れると、そこは混沌と喧噪の世界。車両が入れない路地を歩く人々で溢れかえり、荷物の運搬にも手押し車やロバが活躍しています。香料、織物、真鍮細工など同業の商店が集まるスーク(市場)が点在し、さらに奥へと歩を進めると伝統工芸の職人街があります。なめした革を手作業で鮮やかに染色したり、紡いだ糸を染め上げたり、何百年にもわたって培われてきた技術を継承しながら、職人たちが日々の暮らしを営んでいます。異教徒が立ち入れないモスクやマドラサ(大学)などもあるメディナは、敬虔なムスリムの生活の場であり、生きている世界遺産なのです。
メディナの複雑に入り組んだ路地を行きつ戻りつさまよえば、モロッコ最古の王都の1000年にわたる歴史や、今を生きる人々の息遣いがひしひしと伝わり、迷宮に迷い込んだ異邦人の心地がします。