Story
モロッコ王国を治める現国王モハメッド6世、そのルーツは17世紀に樹立したイスラム教国のアラウィー朝にあり、最初の都が置かれたのが、現在の首都ラバトから約130㎞東に位置するメクネスでした。ときの国王ムーレイ・イスマイルが築き上げた王都は、喧噪に満ちたモロッコの多くの町々とは異なり、静かな古都の雰囲気が漂います。
イスマイル王は当時強大だったヨーロッパ諸国と積極的に国交を結び、各国の国王と交流を深めますが、なかでも特にフランスのルイ14世に傾倒。メクネスを「モロッコのヴェルサイユ」にすべく大改造を行います。古い建物を取り壊し、イスラム文化とヨーロッパ文化が融合した、イスパノ・モレスク様式と呼ばれる建築物を次々に建造していったのです。城壁に囲まれた古都メクネスの入口にあるマンスール門は、精緻(せいち)なモザイクや彫刻が施され、北アフリカで最も美しい門と称されます。さらに、巨大な貯水池や20年分の籠城が可能という穀物貯蔵庫、約1万2千頭の馬を飼う厩舎などを備え、イスマイル王が建設しようとした都が、いかに壮大であったかが窺えます。
しかし、イスマイル王は「モロッコのヴェルサイユ」の完成を見ることなく没し、混乱の中で即位した息子は遷都。メクネスの繁栄は歴史の彼方に去り、壮麗な古都が残されました。ルイ14世から贈られた置き時計が安置されたムーレイ・イスマイル廟。ここで永久の眠りについているイスマイル王は、今も見果てぬ夢を見ているのでしょうか。
イスマイル王は当時強大だったヨーロッパ諸国と積極的に国交を結び、各国の国王と交流を深めますが、なかでも特にフランスのルイ14世に傾倒。メクネスを「モロッコのヴェルサイユ」にすべく大改造を行います。古い建物を取り壊し、イスラム文化とヨーロッパ文化が融合した、イスパノ・モレスク様式と呼ばれる建築物を次々に建造していったのです。城壁に囲まれた古都メクネスの入口にあるマンスール門は、精緻(せいち)なモザイクや彫刻が施され、北アフリカで最も美しい門と称されます。さらに、巨大な貯水池や20年分の籠城が可能という穀物貯蔵庫、約1万2千頭の馬を飼う厩舎などを備え、イスマイル王が建設しようとした都が、いかに壮大であったかが窺えます。
しかし、イスマイル王は「モロッコのヴェルサイユ」の完成を見ることなく没し、混乱の中で即位した息子は遷都。メクネスの繁栄は歴史の彼方に去り、壮麗な古都が残されました。ルイ14世から贈られた置き時計が安置されたムーレイ・イスマイル廟。ここで永久の眠りについているイスマイル王は、今も見果てぬ夢を見ているのでしょうか。