Story
中央シベリアの南西部に満々と水をたたえるバイカル湖は、面積3万1,500㎢。琵琶湖の約47倍にもおよぶ三日月型の湖で、40mに達する透明度、水深、貯水量ともに世界一。最高気温が20℃前後まで上がる夏、原始林に囲まれた湖面は青く透き通り、最低気温が-20℃前後まで下がる冬は、凍結した湖面を歩いて渡ることができ、見渡すかぎりエメラルドのような氷の世界が広がります。
タタール語で「豊かな湖」を意味するバイカル湖は、約3,000万年前に海溝が孤立し形成された世界最古の湖です。その際、海から取り残され淡水化に適応していった多種多様な水生生物を育み、約1,500種のうち3分の2が固有種とされ、「ロシアのガラパゴス」とも呼ばれています。その代表としては、サケ科のオームリ、チョウザメなど。そして豊かな生物相の頂点に君臨するのが、生息数7~9万頭と推定されるバイカルアザラシです。濃い灰褐色をした体長100cmほどの小型のアザラシで、バイカル湖の深い水中で獲物を見つけるための大きな目と優れた潜水能力を持ち、連続数十分も潜れるといわれています。
「シベリアの真珠」と称えられるバイカル湖ですが、近年は周辺のパルプ工場から流れ込む汚染水などで水質が悪化。腫瘍を煩うバイカルアザラシが見つかるなど、絶滅の危機に瀕している固有種もあり、ロシア政府は水質改善や環境保全に取り組み始めました。美しい湖と豊かな生命が後世にまで残ることを願いたいものです。
タタール語で「豊かな湖」を意味するバイカル湖は、約3,000万年前に海溝が孤立し形成された世界最古の湖です。その際、海から取り残され淡水化に適応していった多種多様な水生生物を育み、約1,500種のうち3分の2が固有種とされ、「ロシアのガラパゴス」とも呼ばれています。その代表としては、サケ科のオームリ、チョウザメなど。そして豊かな生物相の頂点に君臨するのが、生息数7~9万頭と推定されるバイカルアザラシです。濃い灰褐色をした体長100cmほどの小型のアザラシで、バイカル湖の深い水中で獲物を見つけるための大きな目と優れた潜水能力を持ち、連続数十分も潜れるといわれています。
「シベリアの真珠」と称えられるバイカル湖ですが、近年は周辺のパルプ工場から流れ込む汚染水などで水質が悪化。腫瘍を煩うバイカルアザラシが見つかるなど、絶滅の危機に瀕している固有種もあり、ロシア政府は水質改善や環境保全に取り組み始めました。美しい湖と豊かな生命が後世にまで残ることを願いたいものです。