Story
ドイツとの国境に近いスイス北東部の町ザンクト・ガレン。その旧市街の中心に建ち、1983年に文化遺産に登録されたザンクト・ガレン修道院は、知の殿堂としてヨーロッパ中に名を馳せてきました。
修道院の前身は612年、伝道の旅の途上で病に倒れたアイルランドの修道士ガルスが、この地に建てた小さな庵でした。720年にはその跡地に修道院が建てられ、彼の名にちなみザンクト(聖)・ガレンと名付けられ、町の名にもなりました。その後、労働や学問を通じて神に献身するベネディクト会の修道院になり、聖書や古典の写本が盛んに行われ、9~10世紀には300冊近くに達していたといわれます。印刷技術の発明後も写本は続けられ、飾り文字など視覚的な工夫が施されていきます。これらの写本は文字文化の変遷を知る重要な史料にもなっています。18世紀に改装された後期バロック様式の修道院、絢爛たる付属聖堂などの建築もさることながら、度重なる火災や宗教戦争をくぐり抜け、中世ヨーロッパの文化に多大な影響を与えてきた写本類が、世界遺産としての価値を高めています。
現在2000冊を超える写本をはじめ約15万冊もの蔵書が、ロココ様式の傑作といわれる大広間のある付属図書館に収められています。おびただしい数の知の集積に圧倒され、16~18世紀の美しい家並みが近代的な都市に調和して佇む旧市街を散策すれば、ヨーロッパの文化の深さ、豊かさを存分に感じることができるでしょう。
修道院の前身は612年、伝道の旅の途上で病に倒れたアイルランドの修道士ガルスが、この地に建てた小さな庵でした。720年にはその跡地に修道院が建てられ、彼の名にちなみザンクト(聖)・ガレンと名付けられ、町の名にもなりました。その後、労働や学問を通じて神に献身するベネディクト会の修道院になり、聖書や古典の写本が盛んに行われ、9~10世紀には300冊近くに達していたといわれます。印刷技術の発明後も写本は続けられ、飾り文字など視覚的な工夫が施されていきます。これらの写本は文字文化の変遷を知る重要な史料にもなっています。18世紀に改装された後期バロック様式の修道院、絢爛たる付属聖堂などの建築もさることながら、度重なる火災や宗教戦争をくぐり抜け、中世ヨーロッパの文化に多大な影響を与えてきた写本類が、世界遺産としての価値を高めています。
現在2000冊を超える写本をはじめ約15万冊もの蔵書が、ロココ様式の傑作といわれる大広間のある付属図書館に収められています。おびただしい数の知の集積に圧倒され、16~18世紀の美しい家並みが近代的な都市に調和して佇む旧市街を散策すれば、ヨーロッパの文化の深さ、豊かさを存分に感じることができるでしょう。